メンタルヘルス不調の原因
メンタルヘルスとは
メンタルヘルスを日本語に置き換えると「精神的健康」「心の健康」「精神保健」「精神衛生」などの言葉になります。精神的疲労やストレスの軽減・緩和、精神保健医療における精神障害予防や回復などを目的とする場面で用いられます。そして、このメンタルヘルスに異常をきたす高齢者の数が近年増えていることが問題となっています。
厚生労働省が開示している健康保持増進のための指針には、メンタルヘルス不調とは「精神障害や自殺などだけでなく、ストレスや強い不安、悩みなどの社会生活や日常生活におよぶ精神的問題や行動上の問題を含む」としており、幅広く定義されています。高齢者が抱えるメンタルヘルス不調の特徴として挙げられるのが、「不安や焦燥感」「心気的な症状」「身体の合併症」「妄想」などの症状が多いことです。また、認知症との鑑別が難しい点にも注意が必要です。うつ病を発症した高齢者は精神的な症状だけでなく、「頭痛」「腰痛」「胃の不調」などの症状も見られます。日本にいる高齢者のうち、約10%もの人がうつ病の傾向があるとされています。
不調の主な原因
高齢者のメンタルヘルス不調の主な原因は「脳の老化に直結する認知症」「老年期特有のライフイベント」「加齢による身体機能の低下」です。様々な喪失体験や慢性的なストレスにより抑うつ状態となりますが、認知症と症状が似ていることから診断や治療が難しく知らず知らずのうちに症状が悪化するケースも少なくありません。
老年期特有のライフイベントとして代表的なものは「家族や知人との死別」「ペットロス」「退職などによる社会的役割の喪失」「経済的な不安」「転居や施設入所による生活環境の変化」です。また、「健康不安」「身体の不調」「認知機能の低下」「視覚や聴覚などの感覚機能の低下」「行動力の低下」など、加齢による身体機能の低下も強いストレスを抱える原因となります。一般的な老化現象と共に進行していくため、その裏で抱えている慢性的なストレスに気付くのが遅くなってしまいます。
身体疾患との関係性
身体疾患を抱えた高齢者がメンタルヘルス不調に陥るケースもあります。若い世代と比べて、「身体疾患が重症」「日常生活の制限が大きい」「合併症が見られる」「配偶者や家族などからのサポートが得られない」などの特徴があるため、身体疾患を合併したうつ病は症状の進行が速い傾向にあります。そのため、周囲はより慎重にサポートしていかなければなりません。
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