老人性うつと認知症の違い
違いを知ることが重要
老人性うつと認知症は症状が似ていることから発見が遅れてしまいがちです。しかし、気付かずに放置していると重症化していきます。早期に発見するためには、老人性うつと認知症の違いを理解しておかなければなりません。どのような違いがあるのか、具体的に見ていきましょう。
進行速度
認知症は徐々に進行していくので、発病になかなか気付けないことが多いです。一方、老人性うつは認知症と比べると短い期間に複数の症状が現れます。いつもと様子が違うと感じたら老人性うつを疑いましょう。特に、日頃から若々しく活動的だった人の様子が急に変わった場合は老人性うつの可能性が高いです。
また、老人性うつは時間帯によってメンタルヘルスの調子が変動する場合があります。朝は調子が悪く、時間が経つにつれてよくなることも珍しくありません。認知症の場合、このような日内変動は起こりません。
記憶障害
老人性うつと認知症どちらにも記憶障害は見られますが、症状の現れ方が異なります。認知症は初期に軽度の記憶障害が見られ、それが徐々に進行していきます。例えば、「昨日の夕食が思い出せない」はただの物忘れですが、「夕食そのものを食べた記憶がない」だと認知症の可能性が高いです。基本的な記憶が失われているので、自身の記憶障害に気付かないでいることが多いです。一方、老人性うつは「突然数日前のことが思い出せなくなる」などの症状が現れます。それを自覚し、本人の不安が高まっていくことでより症状が悪化していきます。
自責の念の有無
老人性うつの高齢者は強い抑うつ気分を抱えています。「自分のせいで周囲に迷惑がかかっている」という自責の念があるため、物事を悲観的に捉えます。自分を卑下し、「いっそのこと死んでしまった方がいい」などと考えてしまい、自傷行為に走るケースもあるため注意深く観察しなければなりません。一方、認知症は意欲の低下や問題行動はあるものの、自責の念を持つことはありません。
本人の自覚
認知症の人は症状が軽いうちは自身の認知機能の低下に対して不安やストレスを覚えることもありますが、徐々に関心が失われていきます。一方、老人性うつの人は認知機能の低下をしっかり自覚しているため、症状が悪化していくことに対して強い不安を覚えます。
質問への受け答え
老人性うつと認知症の人では、質問に対する受け答えも異なります。老人性うつの人は質問に対してよく考えてから答えようとしますが、結果的に答えられないことが多いです。一方、認知症の人は質問に対して的外れな返答をすることが多く、それに対する指摘に取り繕おうとするなどの行動が見られます。
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